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パーキンソン病診療の流れ

2023年11月19日

はじめに


こんにちは、みずほ内科クリニック院長の安部です。私は神経内科専門医として長年にわたり、パーキンソン病を含む神経疾患の診療に携わってきました。パーキンソン病は、多くの人々に影響を与える重要な病気です。今回は、パーキンソン病の診療プロセスについて、その詳細を紹介します。この情報が、パーキンソン病について心配している方や受診を検討されている方の役に立てば幸いです。


病歴の聴取


パーキンソン病の診断の第一歩は病歴の聴取です。ここでは、症状の始まりや進行の様子、それに関連する生活習慣や既往症などを詳細に伺います。パーキンソン病は神経変性疾患の一つで、その進行は緩やかなものです。症状は多くの場合、一側の上肢や下肢から始まり、時間の経過とともに全身に広がっていきます。しかし、症状が数日や数週間で急激に出現する場合、パーキンソン病の可能性は低いと考えます。


パーキンソン病には運動症状以外にも、非運動症状が存在します。これには、睡眠障害(特にREM睡眠行動異常症)、便秘、嗅覚の低下などが含まれます。これらの症状は、時にパーキンソン病の前駆症状となり、診断プロセスにおいて重要なポイントとなります。


診察


パーキンソン病の診断過程では、運動症状の特定が重要です。これに関しての詳細な情報は、別の記事で提供していますので、そちらもぜひ参照ください。


パーキンソン病の特徴的な症状として最もよく知られているのは、手足の震え(振戦)です。この震えは特に静止しているときに顕著で、動いているときには軽減することが一般的です。しかし、振戦だけがパーキンソン病の全てではありません。筋肉の硬さ(筋強剛)もまた一般的な症状で、診察時に患者さんの四肢に異常な緊張を感じることがあります。


さらに、動作の緩慢さ(運動緩慢)もパーキンソン病の重要な特徴です。日常生活の中で、手足の動きが遅くなったりします。特に、歩行時の様子や立ち上がる、座るといった日常的な動作において動きの遅さがあるかどうかを確認します。これに加えて、バランスを保つのが難しくなり、こけやすくなる(姿勢反射障害)なども重要なチェックポイントです。


International Parkinson and Movement Disorder Society(MDS)が示す診断基準によれば、パーキンソニズムの診断には運動緩慢が必須とされています。これに加えて、静止時の振戦や筋の強剛さが一つまたは両方ある場合、パーキンソン病の可能性が高まります。


以上のように運動緩慢を中心とする運動症状の有無について一連の診察の中で確認していきます。


検査


当院では、診断の一環として頭部CT検査を行います。この検査は、X線を使用して体内の断面画像を撮影し、脳内の出血や梗塞がないかを確認するためのものです。脳梗塞や出血が原因でパーキンソン病に似た症状(パーキンソニズム)が現れることがあり、これを確認するために重要です。当院にはCT装置が設置されており、検査は約30秒で完了します。


より詳細な画像が必要な場合には、頭部MRI検査を推奨します。MRIは、当院では行えないため、通常は周南記念病院や徳山医師会病院への依頼となります。また、パーキンソン病の特殊検査として、DaT SCANやMIBG心筋シンチグラフィといった検査があり、これらの撮影も徳山医師会病院で行います。


治療の開始と確定診断


最後に、実際の治療薬の投与を開始します。この治療薬に対する反応性を観察することで、パーキンソン病の最終的な診断に至ります。治療薬の効果や反応をもとに、最終的な診断と今後の治療方針を検討していきます。


最後に


以上がパーキンソン病の診療の基本的な流れとなります。当院は専門医として、患者さんの症状や生活状況に合わせて、最適な治療を提供することを心がけております。何かご不明点やご心配な点がございましたら、いつでもご相談ください。


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インフルエンザワクチンの接種時期に関して

2023年10月08日

コロナ禍の影響で、ここ数年はインフルエンザの流行は見受けられませんでしたが、今年は昨年までとは状況が異なります。通常、インフルエンザの流行は冬とされていますが、今年は7月頃から罹患者が出現し、その数は徐々に増加しています。

現在、インフルエンザの予防策として最も有用とされるのがインフルエンザワクチンです。ワクチンは、インフルエンザ感染を予防するだけでなく、もし感染しても症状を軽減する効果があります。

当院でも例年は11月からインフルエンザワクチン接種を開始していましたが、今年は10月16日から開始します。


今回はインフルエンザワクチンの接種時期について文献を検討してみました。アメリカ予防接種委員会(ACIP)によるとインフルエンザ流行のタイミングを予測することは難しく、最適な接種開始時期は毎年異なるとされます。とくにシーズンを通じてのワクチンの効果減弱の可能性、流行状況、ワクチン流通のタイミングのバランスで考える必要があるとされます。


ワクチンの効果減弱の可能性については最近の報告では


・インフルエンザA(H3N2)、A(H1N1)pdm09、B/Yamagata関連の入院の予防において、接種直後が最も効果的で、その後、月ごとに8%-9%の効果が低下する傾向を認めた。
Clin Infect Dis. 2021;73:726-729.

・65歳以上の高齢者を対象にした2018/2019年のインフルエンザワクチンの有効性は、全体で約46%、A(H3N2)に対して45%、A(H1N1)pdm09に対しては41%であった。しかし、接種後の有効性は徐々に低下する傾向が観察された。
Int J Environ Res Public Health. 2021;18:1129.

・インフルエンザワクチン接種後、0-180日は54%から67%の予防効果を認めたが、181-365日では効果は低下する。
Vaccine. 2016 Jul 19;34(33):3907-12.


上記の報告がなされています。
これらからはワクチンを早く接種すると、シーズンの後半に効果が低下する可能性が示唆されています。一方で、接種のタイミングを遅らせると、インフルエンザの流行に間に合わないリスクも考慮しなければなりません。具体的なタイミングとして、アメリカの予防接種委員会(ACIP)は10月中にワクチン接種を受けることを推奨しています。接種から一定の期間が経過すると、ワクチンの効果が徐々に低下する可能性があるため、8、9月ではなく、この時期の接種がワクチンの効果を最大化しやすいと考えられます。


当院では、10月16日よりインフルエンザのワクチン接種を開始します。接種を希望される方は、webでのご予約をお願いします。64歳以下の方は、web問診もご利用いただけると大変助かります。一方、65歳以上の方には、各市町村からの問診票をご記入いただきます。皆様の健康を守るため、適切なタイミングでのワクチン接種を心がけましょう。


<参考文献>
Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices — United States, 2023–24 Influenza Season
Recommendations and Reports / August 25, 2023 / 72(2);1–25

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認知症カフェ(みずホッとカフェ)を開始しました

2023年05月05日


認知症カフェとは

認知症カフェは199年代半ばにオランダで生まれました。当初は、アルツハイマーカフェとも呼ばれ、認知症患者や家族、介護者が交流し、情報を得られる支援の場として開始されました。2012年に日本に紹介され、現在では5000ヶ所以上で行われています。


認知症カフェの目的

1.交流:認知症は患者さん本人やその家族にとって、周囲から孤立した状態となりがちです。このため、認知症患者や家族、介護者が交流し、地域のコミュニティとして機能するような環境を整備するが目的の一つです。

2.情報提供:認知症とはどういうものか、どのような治療があるのか、必要なリハビリや社会的資源の使い方など、認知症と付き合うにあたって必要となる知識は広範です。認知症に関する正確で最新の情報を提供し、患者さんと介護者が症状をよりよく管理できるように支援することが目的です。

3.サポート:認知症に関する経験や現在困っていることなどを気軽に話し合える場を提供し、適切な支援を受けられるように、カフェスタッフがサポートします。

交流、情報提供、サポートという3つが認知症カフェの軸となります。


みずホッとカフェ

今回、医療法人社団二三会として認知症カフェを開始しました。

名称:みずホッとカフェ
日時:毎週第3日曜日 9時半~11時半
場所:さくら苑デイサービスセンター(下松市瑞穂町2丁目21−1)
費用:200円
(詳細は別記事を参照してください)

初回は4月16日に開催しました。最初は、院長である私から「認知症カフェとは、認知症とは何か」というテーマで講演を行いました。その後はフリートーク、院長への質問コーナー、全員で100歳体操の指導、実践を行い、終了しました。次回は5月21日(日)の予定です。認知症患者さんやそのご家族だけでなく、認知症自体に興味のある方は自由にご参加ください。

みずホッとカフェへの参加希望の方は、会場準備の都合上、事前の電話連絡をお願いします。

法人事務局(0833-44-2680)

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まもなくスギ花粉シーズン到来!花粉症対策はお早めに

2023年01月24日


山口県内では2~3月頃にスギ花粉、3~4月頃にヒノキ花粉が飛散します。

本格的なシーズン到来前に、早めに備えましょう。


花粉症は薬による初期予防治療が認められておりますので

飛散が始まる1~2週間前から受診・服薬が可能です。

早めに服薬する事で、花粉飛沫の最盛期に、症状を軽くする効果が期待できます。

今年は例年・昨シーズンよりも花粉飛散が多い見込みとなっておりますので

しっかりと対策をしておくことをおすすめ致します。

花粉症でお悩みの方、当院へお気軽にご相談ください。


出典:tenki.jp「花粉飛散情報 2023」




⇩ご予約はこちらから⇩

※風邪症状との区別が難しい場合は、ご来院前に当院(0833-45-6161)へお問い合わせください。

花粉症の特徴は、目や鼻の症状が長く続くことです。
花粉が鼻の中に入ると「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」などの症状が長く続き
かゆみや充血などの目の症状が発症します。





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第127回周南医学会で講演を行いました

2022年10月16日

2022年10月16日、第127回周南医学会で「ガルカネズマブが著効した慢性片頭痛の30歳代男性」という演題名で発表してきました。

ガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)は抗CGRP抗体製剤の一つであり、片頭痛の予防治療として近年認可されました。慢性片頭痛は患者さん本人のQOLを著しく低下させる疾患であり、こちらに対する実際の使用経験について発表を行いました。

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第2回地域事業者合同勉強会

2022年05月19日

本日はショートステイ野の花1Fのアクティブホールで第2回地域事業者合同勉強会を行いました。今回のテーマは「認知症疾患総ざらい」で、アルツハイマー病やレヴィ小体型認知症、神経原線維型老年期認知症(SD-NFT)など、神経変性疾患の基礎事項について概要を説明しました。

今後は年2~3回程度のペースで行っていく予定です。

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早期パーキンソン病患者に対する定期的な運動習慣の効果

2022年04月24日

パーキンソン病の方から「運動はやった方がいいですか?」「運動するとしたらどのくらいしたらいいですか?」とよく聞かれます。

パーキンソン病診療ガイドライン2018では「薬物療法や手術療法とともに運動療法を行うことで運動症状の改善が得られ、有用である」とされます。最近では薬物治療だけでなく、運動療法の有効性が強調されることが増えてきました。


今回は、日本の月田先生達のグループからの報告を紹介します。

早期のパーキンソン病患者237名を対象。質問紙表などを用いて日常生活における身体活動の程度および普段の運動強度を確認しました。そして、定期的な身体活動・運動と臨床症状の進行に及ぼす影響を検討しました。


観察期間は5年間(中央値)で、中程度から強い強度の運動を定期的に行っている場合、姿勢障害や歩行障害の進行が遅くなるということでした。

今回、用いられた質問指標はPASE(Physical Activity Scale for the Elderly)というもので、


中等度の運動:ダブルステニス、社交ダンス、狩猟、アイススケート、カートなしのゴルフ、ソフトボールなど


強度の運動:ジョギング、水泳、サイクリング、シングルステニス、エアロビックダンス、スキー(ダウンヒルまたはクロスカントリー)、その他同様の活動など、激しいスポーツやレクリエーション活動


と定義されます。


運動療法としては軽いものではなく、そこそこの強度ものを行った方がよいということで、現実的にはテニスやゴルフ(カートなしというのは大変ですが)、ジョギングでしょうか。社交ダンスは過去に効果を検討した論文もありました(Hashimoto H et al. Complement Ther Med 2015: 23; 210-9.)。
このほか、運動療法に関する報告は多数ありますので折をみて紹介したいと思います。


<参考文献>

Tsukita K et al. Long-term Effect of Regular Physical Activity and Exercise Habits in Patients With Early Parkinson Disease. Neurology. 2022; 98: e859-e871.

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パーキンソン病WEB駅伝

2021年12月09日

本日、パーキンソン病WEB駅伝 2021 in 山口という連続講義で

「第3回 進行期・認知機能障害の概要と治療」

の担当講師としてweb講演を行いました。

本講演はメディカルスタッフの方に向けたもので、パーキンソン病に伴う認知機能障害,嚥下障害に関して概要をお話ししました。どちらも進行期のパーキンソン病の方にとってQOL低下の原因となる重要な症状です。当院も患者さんのQOL向上に寄与できるよう「わはは」や「さくら苑」、「野の花」といった介護施設と共同して診療にあたります。

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第126回周南医学会

2021年11月28日

本日ですが、第126回周南医学会で発表してきました。

演題名:進行期高齢パーキンソン病患者に対するレボドパ/カルビドパ配合経腸溶液療法導入の経験

進行期のパーキンソン病の方では、ウェアリングオフやジスキネジアといった運動合併症が問題となります。レボドパ/カルビドパ経腸療法(LCIG)は高齢の方でも比較的安全に施行でき、有効であったと発表しました。

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パーキンソン病の概要、症状

2021年10月12日

パーキンソン病は脳神経内科において代表的な疾患の一つです。私自身、山口大学で勤務していたときは「パーキンソン病特殊治療外来」を担当していました。また、徳山中央病院勤務時も積極的に脳深部刺激術やレボドパ/カルビドパ経腸療法を導入していました。

今回はパーキンソン病の概要、症状について説明します。


  • パーキンソン病とは

脳内の黒質という場所に存在するドパミン産生神経細胞の細胞死を主要病変とする、緩徐進行性の神経変性疾患です。多くは40歳以降に発症します。


  • 疫学

パーキンソン病の罹患率(年間の発症の頻度)は14~19人/10万人・年で、有病率(疾患を有している人の割合)は100~300人/10万人と推定されています。パーキンソン病は年齢と共に頻度が高くなるとされており、65歳以上では罹患率は160人/10万人・年、有病率は950人/10万人(約100人に1人)と非常に高値を示します。日本の調査では罹患率は10~18人/10万人・年、有病率は100~180人/10万人程度とされます。国内では20万人程度の患者さんがいると考えられています。


  • 症状

パーキンソン病の方は主に「手のふるえ」や「動きの悪さ」を主訴に来院されることが多いですが、それ以外にも多くの症状があります。主に「運動症状」「非運動症状」の2つに分けられます。


■運動症状

その名の通り、身体の動きに影響を与えます。パーキンソン病を代表する症状で、振戦・無動・筋強剛・姿勢反射障害は4大症状と呼ばれます。前3者は通常左右差があり、左右どちらかから発症することが多いです。


振戦:患者さんの7割程度にみられます。静止時振戦といい、じっとしているとふるえが出現しますが、力を入れると軽減するのが特徴です。母指と示指・中指をすりあわせるようなふるえを呈することがあり、丸薬をまるめるようにみえることからpill-rolling tremorと呼ばれます。歩行時にもよくみられ、精神的に緊張したり、計算負荷がかかるとふるえが強くなったりします。


参考動画


無動:全身の動きが遅くなります。このため字が小さくなる、箸が使いにくいなどが初期に出現し、歩行時に足を引きずる、歩幅が小さくなる、ふらつくなどの症状を呈します。言葉が不明瞭で聞き取りにくくなり、瞬目の減少、表情のこわばり(仮面様顔貌)、流涎なども無動の一症状です。


筋強剛:関節を他動的に動かした際、手足や身体が固く抵抗が増強している状態です。通常は振戦などと同様に身体の一側から出現し、病気の進行にあわせて両側に症状が見られるようになります。


姿勢反射障害:通常、立ったり歩いたりするときは、自然に全身のバランスを保っています。パーキンソン病ではバランスを保つための反射が起こりにくくなり、転びやすくなったりなど姿勢の不安定さがみられます。病初期にみられることはなく、病気の進行に合わせて出現してきます。症状が進行すると歩行が困難になり、人によっては歩行時に杖や車椅子が必要になったりします。



■非運動症状

パーキンソン病の中核症状は運動症状ですが、多くの方で多彩な「非運動症状」がみられます。運動症状の重症度とは必ずしも一致せず、これ単独で生活の質に影響を及ぼします。


睡眠障害:

・日中過眠-日中の過剰な眠気は7割程度の患者さんでみられます。内服治療が誘発因子となることもあります。


・突発性睡眠-眠気などの前兆がなく、食事・会話・運転などの活動時に突然眠り込みます。一部のパーキンソン病治療薬では突発性睡眠を起こしやすくなることが指摘されており、車の運転に制限がかかることがあります。


・夜間不眠-頻度の高い症状で、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒などいずれもみられます。寝返りが打ちにくい、筋肉痛、痛み、頻尿などが関連していることがあります。


・レム睡眠行動障害-睡眠中に夢をみることで、夢内容に一致した行動(大声で叫ぶ、蹴ったり叩いたりする、ベッドから落ちる)が出現します。パーキンソン病の発症前からみられる症状の一つです。


・むずむず脚症候群(restless legs syndrome)-入眠時に下肢のむずむずする不快感を自覚します。じっとしていると症状が増悪し、足を動かすと改善します。


精神・認知・行動障害:

・気分障害-抑うつ症状や不安感、アパシー(やる気の消失、無気力)がみられます。抑うつ症状としては感情の落ち込み、喜びを感じることができない、周りへの関心の低下があります。これらの症状は生活の質を低下させ、運動症状も悪化させます。


・幻覚、妄想-「家の中に虫がみえる」「人の影が見える」などを訴えることがあります。多くの場合は幻覚であることに気づいています。しかし、症状が強くなると「配偶者が浮気をしている」「お金が盗まれた」「家に侵入者がいる」といった訴えがみられ、ひどいときには警察に通報するなどの行動が見られます。患者本人と介護者の双方の生活の質を落とすことがある重要な症状です。


・認知機能障害-思考力の低下や記憶障害がみられます。長期的には40%以上の方で出現するとされます。


自律神経障害:

自律神経は、心臓や腸管、呼吸、発汗、排尿などを制御しています。これらの活動は、普段は特に意識することなく、無意識下に行われています。パーキンソン病では自律神経の異常をきたし、起立性低血圧・頻尿・便秘・発汗過多などの症状が出現します。


感覚障害:

・嗅覚障害-パーキンソン病患者さんの多くにみられ、運動症状の出現する前から出現することがあります。主ににおいを感じなくなるのではなく、においの識別が困難になるとされます。


・痛み-4割以上の方が自覚します。じんじん感や灼熱感など多彩な自覚症状を呈します。一般的には運動症状と同じ部位に出現し、薬の効果がきれると増悪することがあります。


疲労感:

疲れやすさ、疲労感は約4~6割と高率にみられ、生活の質を落とす原因の一つとされます。


<参考文献>

パーキンソン病診療ガイドライン2018

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新型コロナの検査について

2021年09月23日

新型コロナウイルスの検査は遺伝子検査、抗原検査、抗体検査とおおきく3種類あります。

山口県では新型コロナPCRに対する検査補助金事業を行っており、今後検査を行う機会があるかもしれません。なので、これらの検査について解説しようと思います。


新型コロナウイルスについて

新型コロナウイルスの正式名称はSARS-CoV-2といい、このウイルスが原因で起こる感染症をCOVID-19と呼びます。コロナウイルスは中心部に遺伝子(RNA)が存在し、周囲にエンベロープ、膜タンパクと呼ばれる蛋白が周りを囲う構造をしています。



遺伝子検査(核酸検出検査)

目的とする新型コロナウイルスの遺伝子の断片の有無を確認します。遺伝子検査は極少量でも目的とする遺伝子配列を増幅して検出するので、感度が高いという特徴があります。増幅法の種類によって検査が異なります。

  • PCR(Polymerase Chain Reaction):最も古典的な方法です。1983年にキャリーマリスという人が発見しノーベル賞を受賞しました。反応液と遺伝子を混ぜ合わせ温度変化のサイクルを繰り返すことで、目的遺伝子が増幅します。
  • リアルタイムPCR:通常のPCRは目的遺伝子の有無しか確認できませんが、リアルタイムPCRは遺伝子の量を定量化(遺伝子が多い、少ないを数値化する)ことが出来ます。現状、最も感度が高いとされています。
  • LAMP法(Loop-Mediated Isothermal Amplification):PCRと異なり、一定の温度で遺伝子増幅の反応が進みます(等温核酸増幅法といいます)。4〜6種類のプライマー(目的遺伝子を増幅するための鋳型となるもの)を使用します。15−60分程度と比較的短時間で検査が完了するのが特徴です。
  • NEAR法(Nicking Endonuclease Amplification Reaction):等温核酸増幅法の一種です。2種類のプライマー、ニッキング酵素とDNAポリメラーゼを用いて目的遺伝子を増幅させます。15分程度と短時間で検査が完了します。当院で採用しているID NOWはこの方法で検査を行っています。


抗原検査

新型コロナウイルスのタンパクそのものを検出することを目的とします。

  • 定量検査:タンパクの多い、少ないを数値化することが出来ます。専用の機械が必要です。遺伝子検査と比較して同等の感度、特異度があるとされます。
  • 定性検査:インフルエンザの迅速診断キットと同様で、検査は簡便です。タンパクの有無の確認しか出来ません。ウイルス量が多くないと検出できないという欠点があります。


抗体検査

血液中に新型コロナのタンパク(抗原)と結合する物質(抗体)が存在するかどうかを調べます。新型コロナ感染後、ワクチン接種後に身体が反応して生成する物質であり、現在のコロナ感染の有無をみるものではありません。


当院では発熱外来にて抗原定性検査、遺伝子検査を行っています。
受診希望の方は下記を参照し受診して下さい。

発熱外来のお知らせ(2021年9月版)


<参考文献>

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第4版
https://www.mhlw.go.jp/content/000790468.pdf

P Khan, L M Aufdembrink et al. Isothermal SARS-CoV-2 Diagnostics: Tools for Enabling Distributed Pandemic Testing as a Means of Supporting Safe Reopenings. ACS Synth Biol. 2020 ;9 :2861-2880.

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Webセミナー「パーキンソン病治療の基礎知識」

2021年07月15日

7月15日に主に薬剤師の方を対象に「パーキンソン病治療の基礎知識」という題でwebセミナーを行いました。

抗コリン薬、レボドパ製剤から最新のレボドパ・カルビドパ経腸療法(LCIG)やオピカポン(オンジェンティス®)まで、パーキンソン病治療薬全般をレビューしました。

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